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走れメロス

 

作品No:10

著者:太宰治

(だざいおさむ)

 

所要時間:約12分

 

 

 

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ハイライト

 「やめて下さい。走るのは、やめて下さい。いまはご自分のお命が大事です。あの方は、あなたを信じて居りました。刑場に引き出されても、平気でいました。王様が、さんざんあの方をからかっても、メロスは来ます、とだけ答え、強い信念を持ちつづけている様子でございました。」
「それだから、走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。人の命も問題でないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。ついて来い! フィロストラトス。」

 作品について

 云わずと知れた、太宰作品の金字塔。多くの教科書に掲載され、広く知られている。

 人間不信にとらわれ、身近な腹心をも殺す王に憤慨した牧人メロス。王を殺そうと王城に入るが、捕まって、処刑されることになる。メロスは妹の婚礼のため三日の猶予を求め、親友のセリヌンティウスを人質とする。 三日後、様々な妨害に合い、疲労困憊しながらもメロスは友のために戻っていく。

 

高瀬舟

 

作品No:9

著者:森鷗外

(もりおうがい)

 

所要時間:約11分

 

 

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 「いや。別にわけがあって聞いたのではない。実はな、おれはさっきからお前の島へゆく心持ちが聞いてみたかったのだ。おれはこれまでこの舟でおおぜいの人を島へ送った。それはずいぶんいろいろな身の上の人だったが、どれもどれも島へゆくのを悲しがって、見送りに来て、いっしょに舟に乗る親類のものと、夜どおし泣くにきまっていた。それにお前の様子を見れば、どうも島へゆくのを苦にしてはいないようだ。いったいお前はどう思っているのだい。」

 作品について

 同心・羽田庄兵衛は何度も高瀬舟で罪人を護送してきた。高瀬舟に乗せられる罪人はみな悲しがって泣くものだが、今夜乗った喜助は晴れ晴れとした、楽しげな様子をしている。

それを不思議に思った庄兵衛は、喜助になにを考えているのか、なにをして島流しになるのかを問うてみた―

 巨匠・森鷗外の代表作のひとつ。現代になっても褪せることないテーマを見事に描いた不滅の作品。

 

梨の実

 

作品No:8

著者:小山内薫

(おさないかおる)

 

所要時間:約4分

 

 

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 「ええ。お立ち合いの皆々様。わたくしは皆様方のお望みになる事なら、どんな事でもして御覧に入れます。大江山おおえやまの鬼が食べたいとしゃる方があるなら、大江山の鬼を酢味噌すみそにして差し上げます。足柄山あしがらやまがお入用だとあれば、ぐここで足柄山の熊をおにして差し上げます……」
 すると見物の一人が、大きな声でこうどなりました。
「そんならじじい、梨の実を取って来い。」

 作品について

 客の望むことをなんでもしてみせると豪語する老人が祭りにあらわれる。

そこで季節外れの梨を取って来い、といわれた老人。天に縄を投げ、孫に天国の梨を盗んでこさせるが…

 ユーモアと痛快さを感じさせる、童話の名作。

 

鶴の笛

 

作品No:7

著者:林芙美子

(はやしふみこ)

 

所要時間:約4分

 

 

 

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 すると、しばらくして、何ともいえない美しい笛の音色がきこえました。おや、何だろうと思いました。いままでおなかのすいていたお嫁さんの鶴は、ふっとおなかのくちくなるような気がして、その美しい笛の音色をきいていました。
 そおっと笛の音のする方へ歩いてゆきますと、足の悪い鶴が横笛を吹いていました。
「おやおや、あなたが笛を吹いていたのですか。」
 お嫁さんの鶴がたずねました。

 作品について

 飢饉がおきた沼に残された鶴の夫婦の話。

沼に取り残された足の悪い鶴は、ある日笛を拾う。その美しい笛の音を聞くとふしぎと心が穏やかになるのだった。

 貧しくても豊かな心を持つことの大切さと、わずかなもので満足することを教える名作。

 

先生の顔

 

作品No:6

著者:竹久夢二

(たけひさゆめじ)

 

所要時間:約4分

 

 

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 それは火曜日の地理の時間でした。
 森先生は教壇の上から、葉子ようこ附図ふずかげにかくれて、ノートへ戯書いたずらがきをしているのを見つけた。
「葉子さん、そのノートを持ってここへおでなさい」不意に森先生が仰有おっしゃったので、葉子はびっくりした。

 葉子は日頃ひごろから成績の悪い生徒ではありませんでした。けれど鉛筆と紙さえ持つと、何時いつでも――授業の時間でさえも絵をきたがる癖がありました。

 作品について

  森先生にほのかな恋心を抱く葉子は、病気で入院した先生の所へ見舞いに行こうとする。花を摘んで先生にあげようと病院に向かう葉子だが、彼女を嫌うクラスメイトの嫌がらせに負けて、花を川に捨ててしま った。

その日の夕方、森先生の手紙が葉子の元に届けられた―

 かすかな甘酸っぱさをたたえた、余韻の心地よい作品。

 

名人伝

 

作品No:5

著者:中島 敦

(なかじまあつし)

 

所要時間:約11分

 

 

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ちょう邯鄲かんたんの都に住む紀昌きしょうという男が、天下第一の弓の名人になろうと志を立てた。おのれの師とたのむべき人物を物色するに、当今弓矢をとっては、名手・飛衛ひえいぶ者があろうとは思われぬ。百歩をへだてて柳葉りゅうようを射るに百発百中するという達人だそうである。紀昌は遥々はるばる飛衛をたずねてその門に入った。

 作品について

 「山月記」「かめれおん日記」などを書いた中島敦の短編小説。

弓の名人になるべく飛衛のもとを訪ねる主人公、紀昌。一旦弓を極めたかに見えたが、師は自分たちの技などある人物と比べれば児戯に等しいという。紀昌は早速その老人の所で修行をし、やがて都へ帰ってくるが…

 テンポのよい文体と魅力的な展開で読む者を離さない。何度も読みたくなる作品。

 

松山鏡

 

作品No:4

著者:楠山正雄

(くすやままさお)

 

所要時間:約5分

 

 

 

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こんどのおかあさんは、時々娘しそうなをしているのをつけて心配しました。そしてそういう、いつも一間んで、いつまでも出てこないのをって、よけい心配になりました。そうっていても、

「いいえ、でもありません。」

 とえるだけでした。でもおかあさんは、だか自分にかくしていることがあるようにって、だんだんがにくらしくなりました。

 作品について

 15になった娘は、母が死ぬとき大切にしていた鏡を渡される。 寂しいときに見ると、いつでも母の顔が見えるという。

新しい母ができた娘だが、前の母を思う気持ちは捨てられず、時々一人で鏡を覗いている。

その様子を不審に思った新しい母は父親にそのことを言いつける…

 親子の愛情が全編に流れる、心温まる作品。

 

幸福の王子

 

作品No:3

著者:

オスカー・ワイルド

 

所要時間:約7分

 

 

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幸福の王子の両眼は涙でいっぱいになっていました。そしてその涙は王子の黄金の頬を流れていたのです。王子の顔は月光の中でとても美しく、小さなツバメはかわいそうな気持ちでいっぱいになりました。

「あなたはどなたですか」ツバメは尋ねました。

「私は幸福の王子だ」

「それなら、どうして泣いているんですか」とツバメは尋ねました。

 

 作品について

 オスカーの代表作。 豪華な金塗りの王子の像と、旅の途中のツバメの友情を描く。 町を見下ろす幸福の王子の像は、貧しい人々を助けるために自分の体の宝石を届けるようツバメに頼む。 ツバメはそれを引き受けるが…

 時代を超えて語り継がれる、不朽の名作。

 

 

作品No:2

著者:新美南吉

(にいみなんきち)

 

所要時間:約5分

 

 

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「母ちゃん、夜、新しい下駄おろすと、狐につかれる?」

 お母さんは、文六ちゃんが何をいい出したかと思って、しばらく、あっけにとられて文六ちゃんの顔を見ていましたが、今晩、文六ちゃんの身の上に、おおよそどんなことが起ったか、けんとうがつきました。 「誰がそんなことをいった?」

  文六ちゃんはむきになって、じぶんのさきの問いをくりかえしました。 「ほんと?」

 作品について

 新美南吉が死の3カ月前に書いた作品。連れだって祭りに出かける田舎の子供たちの心にしのびよる「きつねつき」の疑心暗鬼を描きつつ、母と子の愛情を細やかに語る童話。南吉童話の最高傑作といわれる。 (青空文庫の紹介文より)

 

 

作品No:1

著者:芥川龍之介

(あくたがわりゅうのすけ)

所要時間:約7分

 

 

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ハイライト

 ある春の午(ひる)過ぎです。白(しろ)と云う犬は土を嗅(か)ぎ嗅ぎ、静かな往来を歩いていました。狭い往来の両側にはずっと芽をふいた生垣が続き、そのまた生垣の間にはちらほら桜なども咲いています。白は生垣に沿いながら、ふとある横町へ曲りました。が、そちらへ曲ったと思うと、さもびっくりしたように、突然立ち止ってしまいました。

 作品について

 芥川作品では珍しい動物を主人公にした作品。 ある日、野犬狩りに遭遇した「白」は隣の家の「黒」を見殺しにしてしまう。逃げ帰って見ると主人たちの様子がおかしい。なんと白の身体は真っ黒になっていた。 絶望した白は自らを滅ぼすべく、様々な危険に飛び込んでゆく。

 陰鬱な感じがなく、爽やかでじんわりとした読後感を楽しめる。

 

 

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