植物の研究

竹の花が咲くとき

大体の方は竹の花をご覧になった事がないだろう。竹には花が咲かないと思っている人も少なくないに違いない。
それも無理のないことで、竹の花は60年ないし120年に一度しか咲かない種も珍しくないのである。 彗星のような花といえるかもしれない。
竹の花が咲くときは吉凶の前兆、多くは凶事の前触れとされる。というのも花が咲くと竹は枯れてしまうからだ。枯れる時はその場にある竹の集団全てがごそっと枯れる。
また、花が咲いたあと種ができてこれが落ちるが、その際にネズミが大量発生するという言い伝えもある。
開高健の「パニック」という作品にも竹の花が咲いたときネズミが大量発生したエピソードが含まれていたように記憶している。
竹の花の構造は大体がイネ科のそれと同じであるが、細かく見るとやや原始的なものと考えられる。イネと同じようなものだからさほど美しいともいえない。
朝出かける前に竹やぶを通ったら注意して見るといい。花が咲いていたらその日は用心すべきかも知れない。そう、なにしろ竹の花は凶事の前触れなのだから…
注:イラストの花は竹の花ではなくツバキのようだ。
寄生植物ってどんなもの?

寄生植物は他の植物の栄養を糧にして生育するタイプの植物の総称。宿主(正確には奇主)の植物にとっては厄介なお荷物である。寄生植物の中には自分で光合成をする能力すらなく他の植物から養分や水など全てを吸収しているものもある。
寄生植物として有名なものにはヤドリギやナンバンギセル、世界最大の花であるラフレシアなど。
ラフレシアはブドウ科の、主にシッサス属の蔓に寄生する。この花は子孫を残すための花以外は全て宿主に依存している。つまり完全寄生型である。葉や茎がないので光合成すらできない。 この方法は自分も肥大し大きくなれるが、宿主が枯れてしまうと自らの命もそこで終わりという危険も伴う、諸刃の剣といえる。素人にはお薦めできない。
寄生植物というとヤドリギがすぐに思い浮かぶかも知れない。日本のヤドリギはブナやケヤキ、クリ、サクラなど落葉広葉樹に寄生する。 寄生した木の枝にこんもりとした茂みを作り、40〜60cmないし1m近くになる。雌雄異株、つまりオスの木とメスの木がある。 粘り気のある果肉を持ち、実を食べにきた鳥に種子がくっついて他の木に運ばれ、そこで発芽・寄生する。 宿主の木の葉が落ちてしまう秋から冬にかけてはヤドリギの緑色が目立つので見つけやすい。 葉緑体を持っているので光合成ができ、完全寄生型に対して半寄生型と呼ばれる。
ナンバンギセルは完全寄生型で、ススキやサトウキビ、ミョウガなどの根に寄生する。ピンクがかった薄紫色の花をつけ、キセルの形にそっくりなので見つけやすい。日本全土に生育するので目にしている人も多いはずだ。
最近は人間も寄生とは無縁ではなくなってきたようだ。といっても人間に寄生するのはやはり人間で、親に寄生する未婚の子供すなわちパラサイト・シングルの増加である。
こちらも衣食住全て親に頼る完全寄生型とアルバイトくらいはする半寄生型があるのだとか。まあ、寄生生物もそれはそれで一生懸命生きていればいいのかもしれない。
注:イラストはヤドリギ
西洋タンポポと日本タンポポの見分け方


冬将軍がいつしか過ぎ去り、ストーブをつける回数も心なしか少なくなってきた頃、道端に目をやると黄色いタンポポの花が可愛らしく咲いている。(ああ、もう春なんだな)なんて思う季節である。
それからしばらくするとあのタンポポの背丈が随分伸びてきたのに気づく。そろそろ綿毛を飛ばし始めるものもいる。 そんな光景が見られる季節になったら、そのタンポポの種類を調べてみよう。日本には20種類ほどのタンポポがあるが、西洋タンポポとカントウタンポポ、いわゆる日本タンポポくらいは見分けられるようにしたい。
西洋タンポポはその名の通りヨーロッパから入ってきた帰化植物で日本全土に生育する。花期は3〜10月と長期にわたり、これも日本タンポポと見分けるコツだ。日本タンポポは3〜5月と春にしか咲かないのだ。つまり、この時期を過ぎても咲いているタンポポなら西洋タンポポとみて間違いない。 日本にある他の種、関西タンポポやシロバナタンポポの花期も同じだ。
しかし、西洋タンポポと時期の重なる春頃に見分けるにはどうしたらよいのか?そんなときは茎から花が出ている部分、総苞と呼ばれる箇所に注目してみるといい。ここを見ると西洋タンポポなら外皮が反り返っているのがわかる。反対にピタッとくっついているならばそれは日本タンポポである。
しかしほとんどの花は外皮が反り返った西洋タンポポだろう。日本タンポポは今とても数が少ないのである。 日本タンポポは虫を媒介して受粉を行なわなければならないが、西洋タンポポは単為結実といって受粉をしないで種を作る事ができる。おまけに種が小さく遠くまでよく飛ぶ。この辺が西洋タンポポの繁殖力の秘密だと考えられる。
タンポポはありふれた植物であまり花瓶に飾ることもないかもしれない。しかし野原に彩りを添える素晴らしい花である。 草むしりをする際に一緒にとってしまう前に、しばしご覧になっていただきたい。 つかんだ手を思わず離してしまう、そんな魅力がタンポポにはあるはずである。
驚くべき竹の生長

どうも竹の話ばかりで恐縮である。これで竹について扱うのは三度目になる。それだけ(スイマセン)竹というのは興味の尽きない植物なのだということだろうか。
竹の伸びが早いのはよく知られているが、実際その速度は想像を越えるものがある。 写真のモウソウチクは24時間でなんと120cm前後も生長するのである。モウソウチクに限らず、竹の仲間は一日1m以上伸びることも珍しくないのだ。 実に一時間当り5cmも伸びることになる。 竹の細胞は一秒間に約9万個の細胞を作って伸びていく。だがある程度に太くなると幹の成長は止まり、丈だけが長くなる。
「雨後のタケノコ」という諺があるように、雨の後は竹の生長が早いらしい。
いつかの名探偵コナンで、雨の後の竹の生長を利用してあらかじめ眠らせておいた被害者の首を吊らせて殺すというトリックがあったが、あの時コナンが「雨の後の竹は2m近くも伸びる」と言っていたような記憶がある。 一日で大人の身長を超えるほどに生長するのだから驚異的だ。
竹は全体が伸びるのではなく節ごとに伸びる。線引きで例えると全体がびよーんと伸びるのではなく、目盛りの間がそれぞれ伸びていくのである。その節もちゃんとタケノコの状態のときにできていて、数もほぼ一定している。タケノコを縦に切ってみると節が沢山あるのがよくわかるだろう。
しかし、竹がなぜこんなに一気に伸びる事ができるのかはよく解っていない。身長が伸びないと悩んでいる方には、竹はうらやましい植物かもしれない。
本葉が出てくると双葉は・・・

小学生の頃アサガオの観察日記を付けたという方は少なくないだろう。この行事(?)は今でも多くの小学校で半ば伝統的に行なわれているようだ。 プラスチックの植木蜂か花壇にアサガオの種をまき、ネームプレートをつける。子供心にいつ芽が出るかと気になって仕方がない。ある日小さな芽がポコリと土を押しのけて出てくると感激したものである。
ところでこのアサガオ観察の際に覚えた言葉が「双葉」と「本葉」ではないだろうか。アサガオの芽が出てしばらくすると二枚の葉がつく。これが双葉で、双葉の葉と葉の間から本葉が伸びていく。 しかし本葉が成長していくといつの間にか双葉がなくなっている。つまり枯れてしまうのだ。これは一体どうしたことだろうか?
実は種子の中にはすでに双葉の元が折りたたまれた形で入っている。根を伸ばしたり発芽させるためには栄養が必要だが、そのための養分は双葉の中に含まれているのだ。だから双葉は土中で光がない状態でも育つことができるのである。
双葉は本葉が生長するのに必要な養分を光合成によって作り始める。やがて本葉が充分に育ち、自分で光合成ができるようになると双葉はその役目を終え枯れてしまうのだ。 双葉が枯れるのは本葉が一人前になった証でもある。
双葉は自分の努めを果たすと本葉にバトンタッチし、ひっそりと我が身を終えてゆく。地上で光に当っていられる時間はそう多くないのだ。せめてそのわずかな期間くらい、タップリと水をあげて世話をしてあげたいものだ。
「植物は光が好き」はウソ!?

植物と光は切っても切れない関係にある。光を必要としない植物は一部の寄生植物などごくわずかしかない。
光は多くの植物にとって水や空気と同じように生育に欠かせないものなのだ。
だから当然植物は光が大好きで、太陽の方向にむかって伸びる。花も太陽の方に向かって咲く― と、一般にはこう思われている。もちろんこれはこれで間違いではない。だが、光がある方が植物の成長が早いかというと、その逆なのだ。実は植物は光がくる方向と逆の側に細胞が多く作られるのである。つまり陽の当らない陰になる部分の方が生長が早い。結果として陽を受ける方の茎が短くなるため、太陽の方向に引っ張られるのである。
水差しの花なんかを陽の当る所に置いておくとちゃんと太陽の方を向く。自然に生えている花は太陽の方が動いてくれるから問題ないのだが、室内では陽の射す時間が限られている。そのため放っておくと偏った伸び方をしてしまう場合があるのだ。一日か二日に一回ほど、花瓶の向きをくるりと一回転させてやるとよい。均一な生育が期待できるはずだ。
知っておきたい花言葉あれこれ


ちょっと誰かに花束を贈りたいとか誕生日に花を渡したいというときのために、花言葉を知っておくとよい。愛の告白にも花束はつきもの。贈る花の花言葉を知って、自分の気持ちをよく表した花を選びたい。
花言葉は多くの場合ギリシア神話や伝説、中国の故事に由来している。忘れな草の花言葉は「私を忘れないで」「真実の愛」だが、この花言葉のいわれを知っている人も多いだろう。
川のほとりに青い花を見つけた騎士が、恋人にその花を摘んであげようと崖下まで降りた。しかし急流にのまれ、流されながらも彼は恋人に花を投げた。その時叫んだ言葉が[Forget
me not](私を忘れないで)これが忘れな草の由来である。
このように花言葉にはそれにまつわる伝説がついている事が多い。それらを調べてみるのも面白いだろう。 では次に知っておきたい花と花言葉を幾つか挙げよう。
まずは一番ニーズが高いと思われる愛から。
「愛」そのものを表す花はバラ、赤いキク、スミレ、アイリスなど。バラは赤が熱烈な恋や愛を意味する。恋人に贈るなら赤かピンクがいいだろう。モスローズにも愛の告白という意味があるのでよい。
「恋」「幸せな恋」を意味するのはアンブロシア、ドラセナ、クチナシ。「恋の苦しみ」はアネモネ、とりわけ赤いアネモネである。またアサガオには「はかない恋」という意味がある。
「喜び」お礼の花を贈るときに使いたい花だ。カタバミ、カラジューム、サイネリア、ジャスミン、キキョウなど。「感謝」の意味をもつカンパニュラを贈るのいい。
「悲しみ」悲しいことがあった人を慰め共感を表すのに贈りたい花。イチイ、キンセンカ、クジャクヒバ。
「祝福」お祝いの花束には次の花を含めるとよい。ハボタン、ポインセチア、フクジュソウ。ポインセチアは鉢植えが適するので鉢ごとあげるのがよいだろう。
また、悪い意味を持つので贈るのを避けた方が無難な花もある。例えばアジサイには高慢という意味があるし、黄色のカーネーションには軽蔑という意味がある。
花言葉は覚えておいて損はない。花言葉の本を一冊買うか、サイトで調べてもよい。
大切な人には思いをこめたよい意味の花を、是非贈りたいものである。
いずれあやめかかきつばた

「いずれあやめかかきつばた」とは甲乙つけがたい可憐な女性に対して使われる言葉。美人姉妹を指すときなどによく言われる。
アヤメとカキツバタは共によく似ている花で、なかなか区別が難しい。アヤメは漢字で「菖蒲」と書く。ご存知の通りこれは「しょうぶ」とも読む。だがサトイモ科のショウブとは別の種類で、アヤメはアヤメ科である。ショウブも別名をアヤメというから更にややこしい。 また、ショウブはショウブでもハナショウブはアヤメ科で、こちらはアヤメ、カキツバタによく似ている。前述の諺の「あやめ」もハナショウブのことをさすと思われる。ちなみにサトイモ科のショウブは端午の節句のとき菖蒲湯に使われるものである。
分類の違いをおさらいすると、
アヤメ=アヤメ科アヤメ属。 カキツバタ=アヤメ科アヤメ属。 ハナショウブ=アヤメ科アヤメ属。 ショウブ=サトイモ科ショウブ属、となる。 では同属の3つの花の違いを調べよう。
まずアヤメとカキツバタの違い。アヤメは基部に黄斑があるとかカキツバタは先端が尖っているとかこまごまとしたことがよく挙げられるが、そんなもの覚える必要はない。
見分けるポイントはズバリ、生息地の違いである。これほどはっきりした区別はない。 「アヤメは乾燥地、カキツバタは水辺、湿地に生育する」これさえ覚えておけば大丈夫だ。どちらが乾燥地を好むのか忘れそうだというなら、「アヤカン」とでも覚えればよい。一方を覚えておけばもう片方は自然と決まる。
お次はアヤメ、カキツバタとハナショウブの見分け方。これも全く難しくない。
葉の葉脈を見ればよいのだ。アヤメ、カキツバタは葉脈が薄くハッキリしていない。対してハナショウブは太くハッキリした葉脈を持つのである。「ハナブト」と覚えよう。 ハナショウブは乾燥地、湿地のどちらでも生きることができるので生息地で見分けるのは難しいのである。
では最後にアヤメ科植物見分け方の総まとめ。
畑に栽培されているものや土手に生えているものはアヤメかハナショウブ。両者の違いは葉を見ればよい。 これ以外の、湿地や水辺に生えるのがカキツバタである。
ちなみに、アヤメの英語名はアイリス。ひょっとすると今はこちらの方が通りがいいかもしれない。
アヤメ属に共通する花言葉は「良い便り」である。忌中以外ほぼどんなときにもふさわしい花だといえよう。
身近に意外なバラ科の植物

リンゴ、モモ、サクラ、ナシ、ヘビイチゴ、ボケ、チングルマ、ワレモコウ、カリン、ヤマブキ、イチゴ、アーモンド、ビワ、カイドウ、ラズベリー。 これらの植物に共通するものはなんだかお解りだろうか。
実は全て、バラ科の植物なのである。バラというと美しいがトゲのある花を想像するが、これほど多くのバラの仲間がいるとは驚きだ。
もっとも動物でもタヌキはイヌ科の動物だったりと、意外な仲間がいることは少なくない。
バラ科の植物は大変に多彩で、世界中に分布しており約100属3000種もある。
バラ科の定義は専門的になるので割愛するが、簡単な特徴として大抵は複葉で5枚の花弁を持つというのがある。 またこの科は主に次の4つのグループに分けられる。
シモツケの仲間、サクラの仲間、いわゆるバラの仲間、そしてナシの仲間である。
サクラやリンゴ、ナシまでバラの仲間だと思うとなんとも面白い。
何かのネタの時、上記の植物から数個選んで「これらに共通するもの、なーんだ?」とクイズを出すと結構受けるかもしれない。 ただし、リンゴ、モモ、ビワ、イチゴなどを選んでしまうと「みんな食べられる!」ということになってしまうのでご注意。
サボテンはなぜトゲがあるの?

綺麗なバラにはトゲがあるというが、愛嬌はあっても美しいという基準からはやや外れている気がするサボテン。
うっかり触ってしまうと大変である。 ちょっと触れただけのつもりでもトゲは意外に鋭く、思わずびくんとしてしまう痛みを与える。
このトゲは実は葉が変化したもの。サボテンには葉が無い様に見えるが、ある意味トゲが葉なのである。
サボテンが生えているのは砂漠や荒地など雨が降るのが稀な場所が多い。そんな環境下でできるだけ水分を蒸散させないように、葉の面積が極めて小さくなっているのである。 また、他の動物に食べられるのを防ぐためでもある。
更にトゲで体に日陰を作り、強い直射日光から身を守る役目もしているのだ。
サボテンの茎が太いのも水を多く貯められる様にだし、根を浅く広く張り巡らして地表から水分を吸収できる様になっている。サボテンの生息地ではとかく水が重要なのだ。
サボテンのユニークな形を愛でるのも大いに結構だが、実は非常に厳しい環境に適応した植物であることも忘れてはいけない。 彼らは、我々が数日で息絶えてしまうような場所で何十年も生きることができるのである。