動物の研究

蛇の尻尾ってどこからどこまで?

ぱっと見では全身尻尾のような気がする蛇。一体こいつに胴体と尻尾の区別があるのだろうか? ある。
非常に単純だが、肛門から後ろが尻尾、それより前が胴体である。
これは結構いろんな動物に共通のようで、どこから尻尾なのかわからない場合お尻を見てみるといい。
田宮模型からリアルな恐竜のプラモデルが出ているが、ちゃんと肛門がついていてそこから後ろが尻尾である。
蛇の尻尾といえばガラガラヘビ。この蛇は強い毒を持っており、周りに警告を発するために音を立てるのだという説がある。 この音は、脱皮した皮の残りが尻尾にくっついていて、それがこすれて発生しているのだ。
サメの歯は実は歯ではない!?

サメといえば「ジョーズ」という映画に出てくる巨大サメを思い出す。 あの映画のせいでサメのことを英語でジョーズ[jaws]というのだと思っている人もいるが、ジョーズとは「(おおきな)あご」という意味。
サメはシャーク[shark]である。
サメの歯が抜けやすいことはよく知られている。 昔、海だったところの地層からはサメの歯の化石が沢山出てくる。 サメの歯は磨り減ったり獲物にかぶりついたとき抜けたりするとすぐに新しいものに生え変わり、一本の歯の寿命は8〜10日前後と驚くほど短い。
これほど定期的に歯を入れ替える事ができるのも、そもそもサメの歯が我々の思う歯とは違うからだ。 実はサメの歯は、「小歯状突起」と呼ばれ、鱗(うろこ)が硬く変化したものなのだ。
サメの口を内側から見てみると常時3本くらいの歯がストックしてあるのが見える。 それも正体が鱗だと判れば納得がいく。
人間様の歯もこんな風に抜け替われば歯医者要らず。入れ歯を作ったり虫歯に悩んだりすることもない。 なんとか遺伝子工学でサメの歯の遺伝子を人間に移植できないものだろうか。 …しかしモチを食べたくらいで歯が抜けてしまうのは困る…
鶴の一声―鶴の鳴き声って?

「雀の千声鶴の一声」といわれるように普段鶴はとても無口で滅多に声を出さない。―のだが、繁殖期の求愛ダンスのときにはやかましいばかりに鳴く。 繁殖期以外は声を出すことはあまりないが、切羽詰ったときには威厳のある美しい声で鳴くといわれている。
で、その声だが「キョロローキョロロー」と、文字にすればこんな感じだろうか。
高くて澄んだ声なのだが、一度聞いたら忘れられないものというわけでもないかもしれない。
ちなみに繁殖期の声はアニメ「魔女の宅急便」でキキと雁の群れが遭遇し、「風がくる」と雁が警告してくれたときの声、あれに似ている。といっても分かる人にしか分からないだろうが…
卵を産む哺乳類がいる!

我々人間を含め、哺乳類は胎生で生まれる、というのが常識である。 卵を産むのは爬虫類や鳥類、両生類その他。というより哺乳類以外の生物はほとんど卵生と考えてよい。 だが、世の中には型破りの生き物が確かに存在する。そう、卵を産む哺乳類がいるのである。
それは「単孔類」と呼ばれる種類の哺乳類で、カモノハシ類とハリモグラ類の二つしかないごく少ない種である。 言い換えれば卵を産む哺乳類はカモノハシとハリモグラのみ。 上のイラストがカモノハシだ。カモのようなくちばしを持つことからこの名が付いた。
単孔類は哺乳類の中でも最も原始的な部類に属する。 カモノハシは発見されたとき誰もその存在を信じず、カモのくちばしをくっつけた偽物だと考えられていた。その後あまりにも不思議な生態のため分類の議論が行なわれた。鳥類に分類すべきか、それとも哺乳類か。だが結局哺乳類に「単孔類」という新しい種を作ることになった。
そもそも哺乳類とは読んで字の如く母親が乳を飲ませて育てる動物のこと。カモノハシは乳首を持たないが、乳腺から乳が分泌され赤子はそれをなめとる。つまり哺乳するので、哺乳類になったのだ。
自然の神秘を垣間見ることのできる生物だが、地球は広い。まだまだ謎を秘めた動物が生息しているに違いない。
一卵性双生児の指紋は違うのか?

いわゆる双子には一卵性双生児と二卵性双生児の2つがある。一卵性双生児は1つの受精卵から生まれる双子のことをいい、同性で同じ遺伝子をもつ。もちろん血液型も同じだ。
しかし、指紋はどうだろう。指紋が同じ人間はふたりといないといわれる。DNAが同じならば指紋も同じになるのだろうか?
結論から言えば、一卵性双生児でも指紋は違う。だが、類似性が見られることがある。
指紋には大きく分けて巻き型、ひづめ型、弓型、変態紋の4っつの型がある。 一卵性双生児の指紋は完璧に重なるわけではないものの、これらの型が一致する場合が多いということだ。
知り合いに一卵性双生児がいたら指紋を見せてもらうといい。もしかすると、見ただけではわからないほど似ているかもしれない。
シロアリはアリの仲間ではない!

シロアリといえば家の柱を知らず知らずのうちに食い荒らして穴だらけにしてしまうにっくき昆虫である。 家屋に被害を与えるのは普通ヤマトシロアリやイエシロアリだ。 他の種のシロアリはコロニーと呼ばれる巣の中で生活するものが多い。シロアリ塚といって泥で作られた大きな塚も熱帯地方では見る事ができる。
さて、このシロアリだが、名とは裏腹にアリの仲間ではない。むしろゴキブリに近縁である。なるほど嫌われ者という点では共通項があるように思える。 ゴキブリは3億年も前から進化していないというが、シロアリもその仲間だけあって、
膜翅目のアリより原始的な透翅目に属する。 しかしその社会性は高度に複雑化していて、アリのそれに全くひけをとらない。 王、女王はもちろん働きアリや兵アリまでいるのだ。その統率の取れた生態は驚くべきものである。
害虫だといって嫌うのが人情かも知れないが、ちょっと内面を知るだけでだいぶ見方が変わってくるものだ。 ―でも、シロアリの駆除はお早めに。
シオカラトンボとムギワラトンボは違うの?

シオカラ、ムギワラといえばトンボの中でもかなりオーソドックスな部類にはいるだろう。 シオカラという名は腹部に生じる白粉が塩に似ているところからきたといわれる。またムギワラは緑がかった黄褐色、つまり文字通り麦わらの色をしている。
ところで、このふたつが同じ種類のトンボだということをご存知だろうか。 子供のころ網を持ってトンボを追い掛け回した経験のあるお父さんならしっているかもしれない。 シオカラとムギワラは見かけは違え、同じトンボ。だが、シオカラがオスでムギワラがメスなのだ。
このトンボは羽化した時はともに黄褐色で雌雄の区別がつかない。だが性成熟してくるとオスは腹と胸が黒くなり、全体的に青みがかっておなじみのシオカラとなる。
シオカラは春から秋まで観察できる。 一見違う種類に見えるトンボが仲睦まじくとんでいたらそれはきっとシオカラのつがいだろう。 そんなときはいたずらに捕まえたりせず、少しはなれたところから見るだけにしてあげよう。
不思議なカタツムリの生態

普段自然の中で見かける生き物の中でも、カタツムリほど不思議な生物はそういないのではないだろうか。「なにをいまさら、ただのぬめぬめした虫じゃないか」と思う方がいたらそれはすでに大間違い。 なにせ、カタツムリは虫ではなく貝の仲間。 イカやタコと同じ軟体動物なのだ。 背中のおうちも貝の殻と同じだと思えばなるほどうなずける。ちなみに陸上で暮らす貝にはキセル貝というのがいて、朽木などに棲む。形はまるっきり普通の巻貝だ。
カタツムリは一匹でオスメス両方の機能を持っている雌雄同体。キセル貝もそうだ。 相手が見つかれば交尾して、精子を交換し、両方が卵を産む事ができる。しかも相手がいないときは自分で受精することもできるというから凄い。 こうして生まれたカタツムリの子供はとても小さく3ミリくらいしかない。それでも一人前に自分の殻をもっているのだから驚く。 この殻は生まれたてには一巻き半しかないが、成長するにつれ巻き数も増えていく。 巻き数が年齢に比例するわけではないが、大きさを見れば何歳くらいのものか大体分かるという。
梅雨の時期はじめじめしてやなものだが、せめてカタツムリでも見つけて観察してみてはいかがだろう。 のんびりと歩くカタツムリを眺めていれば心持ちゆったり、鬱な気分も和らぐこと間違いなしである。
カタツムリの殻を取ったらナメクジになるのか?

ナメクジは「蛞蝓」と書く。 いかにもじめじめしてぬめぬめしてねちょねちょしてねばねばしてそうな漢字ではないか。 それにしても漢字変換機能とは便利なものだ。
さて、カタツムリの殻を取ったらナメクジになるのか? 実際にやってみりゃいいと思うが、殻を取ったら死んでしまうだろう。だから想像するほかないのだが、ナメクジに殻がついたのがカタツムリだとすればどうか。 こう考えるとカタツムリなんてのは余分なお荷物を背負っているだけで、ナメクジと大差ないことになる。
コウラナメクジというナメクジをご存知だろうか。背中にちょっとだけ甲羅の跡が残っているナメクジで、昔はこのナメクジにはカタツムリのように殻、あるいは甲羅があったと思われる。 つまり、ナメクジは殻が退化してしまったカタツムリという見方もできる。
よーいドンで競争させればナメクジの方が身軽な分だけ速いだろう。そのかわりカタツムリは丈夫な殻で身を守ることができる。 ちょっと方向性が違うだけで同じものという事ができよう。
要するにカタツムリはナメクジに毛ならぬ殻がはえたものだというお話。
ヤモリがガラスを歩けるわけ

ヤモリとよく混同される動物がイモリだ。ヤモリはトカゲの仲間で爬虫類だが、イモリはオオサンショウオの仲間で両生類である。
ヤモリがガラスにくっつく事はよく知られているが、実はイモリもガラスを登る事ができる。 1時間に30cmほどのペースだが、水槽で飼っている人は注意が必要だ。 もっともそんな状態ならとっくに逃げ出しているから注意しても仕方ないが・・・
では、ヤモリが垂直なガラスを登るカラクリを見てみよう。 ヤモリの足は吸盤状になっており、そのせいでくっつくと一般に考えられている。ところが、ヤモリは真空中でもガラスにくっつくことができるのである。ということは空気の圧力を利用した接着ではないということになる。もちろん吸盤効果はあるのだろうが、それが主な力ではないということだ。
もうひとつ有名なのは指先の細い毛をガラスの凹凸にひっかけている、というもの。摩擦力を利用しているというのだが、ヤモリはつるつるのガラスの上を走り回る事ができるのだ。 いくらなんでも細い毛の摩擦でこのグリップを得るのは難しい。
そこで今有力な説となっているのがファンデルワールス力(りょく)によるものである。
ファンデルワールスとは分子間に働く引力のこと。 分子同士は3〜5Å(オングストローム。1Åは1億分の1cm)まで近づくと引き合う力が生まれる。
ヤモリの足1本には50万本ほどの剛毛が生えており、1本の長さは30〜130μmほど。太さは髪の毛の10分の1と驚くほど細い。この毛に働くファンデルワールス力を測定したところ、ヤモリがガラスを歩くのに充分であることを証明する値が出た。
ぺたぺた吸盤をくっつけて登っているだけかと思ったら、実に高度な科学的計算を行なっていたのである。 ―ヤモリ、おそるべし。。。
ナマケモノって本当にナマケモノ?

ナマケモノといえば木にぶら下がってのんびりとしている動物、というイメージがある。 実際ナマケモノはほとんど動かない。ナマケモノという名称は言い得て妙である。
ナマケモノは動物園を除けばホンジュラスからブラジルにかけて分布しており、新芽や葉っぱを食べて生活する。 写真を見てみるとピエロに似ている気がしてならない。実に愛嬌のある顔をしている。ナマケモノはアリクイ目なので、なるほどアリクイの面影を残している。
ナマケモノは筋金入りのホンモノの怠け者だ。 筋肉が弱いため地面を移動するときはほふく前進するしかない。 腕立てでもしたらどうかと言いたい。 一生木にぶら下がったままだったというナマケモノも報告されているし、背中には藻が生えている。ヤマタノオロチみたいなヤツである。もっともこの緑色の藻は保護色になっていて敵から見えにくいという役割がある。ただでさえ微動だにしないのが、まわりの景色に溶け込んでいたら発見は絶望的だ。
ナマケモノが木から下りるのは排便や排尿など用を足すときぐらい。用を足したあとは穴をほって落ち葉で糞などを隠す。 こうすることで木に養分をやっているのである。ちなみに、用を足すのは週に約一回とこれまた非常にスローな周期。
だが考えてみれば彼らは非常にエネルギー効率のよい生活をしていることになる。ここまで消費カロリーの少ない生物も類をみない。 無駄にエネルギーを消費している現代人はむしろナマケモノを見習うべきといえよう。
よし、私も今日からナマケモノに弟子入りすることにしよう。…明日には免許皆伝になりそうだが…